カール・テオドア・ドライヤー『裁かるゝジャンヌ』(1928)無料視聴ガイド:苦悩と信念の中で燃え上がる聖女の魂

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中世

親愛なる映画ファンの皆様、こんにちは。歴史映画ソムリエのマルセルです。本日ご紹介するのは、カール・テオドア・ドライヤー監督の名作『裁かるゝジャンヌ』(1928)です。この映画は、フランスの聖女ジャンヌ・ダルクが異端審問を受けた最後の数日間を描いたサイレント映画であり、映画史において特筆すべき存在です。

この作品は、ジャンヌ役を演じたルネ・ファルコネッティの圧倒的な演技によって支えられています。彼女の表情豊かな演技は、ジャンヌが裁判官たちとの対峙の中で見せる信念、恐れ、そして希望を鮮やかに表現しています。また、映画はほぼ全編がクローズアップの映像で構成され、観客はジャンヌの感情に深く引き込まれます。

映画はジャンヌ・ダルクの精神的な強さと、その苦悩に迫る独自の視点で描かれており、観る者に深い感動と考えさせられる体験を提供します。それでは、次章でこの傑作の基本情報について掘り下げていきましょう。

作品基本情報

項目情報
タイトル裁かるゝジャンヌ
原題La Passion de Jeanne d’Arc
製作年1928年
製作国フランス
監督カール・テオドア・ドライヤー
主要キャストルネ・ファルコネッティ、ウジェーヌ・シルヴァン、アントナン・アルトー
ジャンル歴史、ドラマ
上映時間97分
評価IMDb:8.1/10、Rotten Tomatoes: 98%

『裁かるゝジャンヌ』は、1431年の異端審問で命を落としたフランスの聖女、ジャンヌ・ダルクの最後の日々を描いた作品です。そのリアルで感情的な描写は、歴史映画としての傑出した一例とされています。

この映画は、ルネ・ファルコネッティの卓越した演技と、ドライヤー監督の革新的な演出が融合した傑作です。細部にわたる忠実な再現と深い心理描写は、映画史において不朽の名作とされ、視聴者に感情的なインパクトを与えます。

作品の背景

『裁かるゝジャンヌ』は、歴史上の偉大な人物ジャンヌ・ダルクの最後の日々を描いた作品であり、その制作背景には多くの興味深い物語が秘められています。この章では、映画が描く歴史的背景や制作秘話について掘り下げます。

歴史的背景とその時代の状況

ジャンヌ・ダルクの異端審問
ジャンヌ・ダルクは、百年戦争の最中、フランス軍を勝利に導く象徴的な存在でした。しかし、1430年に敵軍の手に落ち、異端審問にかけられます。この映画は、1431年にルーアンで行われた裁判を忠実に再現し、宗教的・政治的動機が絡み合った複雑な背景を描いています。

裁判の記録に基づく脚本
脚本は、実際の裁判記録をもとに作られています。この記録は、ジャンヌの信仰や弁明、そして裁判官たちとの議論が詳細に記されており、映画はその多くを正確に反映しています。

宗教と政治の対立
ジャンヌの裁判は、宗教的な異端の告発だけでなく、フランス内外の政治的勢力の衝突も背景にありました。映画は、このような複雑な力関係を描きつつ、ジャンヌの信仰と勇気を前面に押し出しています。

作品制作の経緯や舞台裏の話

カール・テオドア・ドライヤーの挑戦
ドライヤー監督は、ジャンヌ・ダルクの物語を描くために、歴史的事実と映画的表現を融合させることに全力を注ぎました。彼は、登場人物の心理描写を深く掘り下げ、観客に強い感情を引き起こすことを目指しました。

画期的な撮影手法
映画は、クローズアップを多用した撮影手法で知られています。ジャンヌの顔の表情を中心に捉えることで、彼女の内面の葛藤や信仰の深さが観客にダイレクトに伝わります。また、セットは極めてシンプルでありながら、緊張感とリアリティを生み出しています。

ルネ・ファルコネッティの演技
ジャンヌ役を演じたルネ・ファルコネッティの演技は、映画史においても傑出したものと評価されています。彼女は、表情のみでキャラクターの感情を表現するという難しい役柄を見事にこなしました。この演技は、映画を不朽の名作たらしめる要素の一つです。

作品が持つ文化的・社会的意義と影響

映画史における革新
『裁かるゝジャンヌ』は、サイレント映画時代の技術的限界を超え、感情的なインパクトを持つ表現を確立しました。その影響は、現代の映画製作にも受け継がれています。

宗教的・精神的テーマ
映画は、ジャンヌの信仰とその犠牲を中心に描かれ、宗教的なテーマを強調しています。これは、単なる歴史映画に留まらず、人間の信念とその代償について深く考えさせる作品でもあります。

マルセル
マルセル

『裁かるゝジャンヌ』は、歴史的事実を基にした映画でありながら、その芸術的表現と感情の深さで観る者を圧倒します。この背景を知ることで、物語がより一層心に響くことでしょう。

ストーリー概要

『裁かるゝジャンヌ』は、聖女ジャンヌ・ダルクが異端審問を受けた最後の数日間を描いた、感動的で緊迫感あふれる映画です。カール・テオドア・ドライヤー監督は、ジャンヌの内面的な葛藤と彼女が経験した残酷な現実を、観客の心に深く刻みます。

主要なテーマと探求される問題

信仰と人間の強さ
ジャンヌは、異端とされながらも信仰と使命を貫く姿を見せます。彼女の信念は裁判官たちの冷酷さや不正に対する強い対抗力として描かれています。

正義と権力の衝突
裁判は単なる宗教的な問いではなく、政治的な目的も含まれています。この中で、正義と権力の間の葛藤が展開されます。

苦悩と救済の物語
ジャンヌは極限の精神的、肉体的苦痛にさらされながらも、信仰に希望を見出します。この映画は、絶望の中で救済を求める人間の姿を描いています。

ストーリーの概要

捕らえられたジャンヌ
1431年、イングランド軍に捕らえられたジャンヌ・ダルク(ルネ・ファルコネッティ)は、フランスのルーアンで異端審問にかけられます。裁判官たちは、彼女の宗教的な信念を非難し、彼女を罪人として罰する理由を探します。

裁判の進行
映画は、ジャンヌの裁判記録に忠実に基づいて進行します。裁判官たちによる冷酷な尋問、巧妙な策略、ジャンヌに嘘を認めさせるための圧力が描かれます。ジャンヌは、神に対する信仰を貫きながらも、苦悩の中で揺れ動きます。

彼女の孤独と苦痛
ジャンヌは、孤立した状態で裁判を受け、自らの命が危険にさらされていることを知ります。それでも彼女は、神への信仰を放棄することなく、最後の審判を迎えます。

クライマックスと結末
最終的に、ジャンヌは異端と断罪され、火刑に処せられます。映画は、ジャンヌの精神的な勝利を強調し、彼女の犠牲が後世においてどれほど深い影響を与えたかを暗示します。

視聴者が見逃せないシーンやテーマ

ジャンヌの表情に宿る感情
映画のほぼ全編がクローズアップで構成され、ジャンヌの表情が観客に直接訴えかけます。特に、彼女が神への信仰を語る場面は圧巻です。

法廷の緊張感
法廷での尋問シーンは、冷酷な裁判官と信念を貫くジャンヌの対峙が緊張感に満ちています。裁判官たちの策略とジャンヌの毅然とした態度が鋭く対比されています。

クライマックスの火刑
ラストシーンでは、ジャンヌの信仰が試される中、彼女の魂の救済が暗示されます。この場面は、悲劇的でありながらも崇高な感動を与えます。

マルセル
マルセル

『裁かるゝジャンヌ』は、ジャンヌ・ダルクという歴史的な人物を通じて、人間の信念と苦悩の極限を描いた作品です。そのストーリーはシンプルながらも奥深く、観る者に心の奥底から訴えかける力を持っています。

作品の魅力と見どころ

『裁かるゝジャンヌ』は、その革新的な映像表現と感情的な深さで映画史に燦然と輝く作品です。この章では、本作が持つ特筆すべき魅力と見どころを紹介します。

特筆すべき演出や映像美

クローズアップを多用した革新的な演出
監督カール・テオドア・ドライヤーは、クローズアップの多用によってジャンヌの内面を映し出しました。ルネ・ファルコネッティの演技は、顔の微妙な動きや目の動きだけで彼女の苦悩や信念を表現しています。観客は、彼女の表情を通じて感情の核心に触れることができます。

極端なセットデザイン
映画のセットは極めてシンプルでありながら、圧倒的なリアリティを持っています。裁判所の重厚な壁や無機質な空間は、ジャンヌの孤独感や圧迫感を効果的に引き立てています。この極端なミニマリズムは、観客の視線をジャンヌの内面的な世界に集中させます。

自然光を活用した撮影
ドライヤー監督は、自然光を最大限に活用することで、柔らかく神秘的な映像美を作り出しました。この光の演出は、ジャンヌの純粋さと信仰の深さを象徴しています。

社会的・文化的テーマの探求

信念を持つ者の力強さ
ジャンヌ・ダルクは、圧倒的な権力と不正に立ち向かい、自らの信仰を守り抜きました。彼女の姿勢は、現代の観客にも、信念を持つことの大切さと困難さを教えてくれます。

宗教と政治の交錯
映画は、宗教的な異端審問の背景にある政治的な動機を鋭く描いています。裁判官たちの策略とジャンヌの純粋な信仰が対比されることで、権力の持つ不条理が浮き彫りにされています。

視聴者の心を打つシーンやテーマ

法廷での激しい対峙
ジャンヌと裁判官たちのやり取りは、圧倒的な緊張感を生み出しています。ジャンヌの毅然とした態度と、裁判官たちの冷酷な尋問は、物語の中心的な軸となっています。

火刑のシーン
映画のクライマックスである火刑の場面は、悲劇的でありながら崇高な感動を呼び起こします。この場面では、ジャンヌの信仰が彼女の苦しみを超越する力を持っていることが強調されています。

ジャンヌの祈りの瞬間
ジャンヌが神に向かって祈るシーンは、映画の最も感動的な瞬間の一つです。この場面では、彼女の信仰が観る者に深い印象を与えます。

マルセル
マルセル

『裁かるゝジャンヌ』は、映像美、俳優の演技、そして深いテーマ性が完璧に融合した傑作です。ジャンヌの信念の強さや、彼女が直面した試練は、現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれます。

視聴におすすめのタイミング

『裁かるゝジャンヌ』は、ジャンヌ・ダルクという歴史的な人物の信念と苦悩を描いた不朽の名作であり、視聴者に深い感動を与える作品です。この章では、映画を観るのに最適なタイミングや心構えについてご紹介します。

このような時におすすめ

タイミング理由
歴史的な偉人の物語に触れたい時ジャンヌ・ダルクの実話を基にした物語は、彼女の信念と犠牲を深く感じさせてくれます。
深く感情移入できる作品を探している時ルネ・ファルコネッティの圧巻の演技とドライヤー監督の演出が、観る者の心に深く響きます。
人間の信念の力を感じたい時圧倒的な権力に立ち向かうジャンヌの姿は、勇気と信念の大切さを教えてくれます。
映画史の名作を堪能したい時サイレント映画の中でも傑出した作品であり、映画史における重要な位置づけを持っています。
静かな時間に没頭したい時クローズアップを多用した静かな語り口が、観る者を物語の深みに引き込みます。

視聴する際の心構えや準備

心構え準備するもの
感情に浸る覚悟を持つジャンヌの苦悩と信念を描いた作品は、心を深く揺さぶる内容です。ハンカチを用意しておくとよいでしょう。
静かな環境を整えるサイレント映画であるため、映像や音楽に集中するために、できるだけ静かな環境での視聴をおすすめします。
歴史的背景を少し学んでおくジャンヌ・ダルクの生涯や百年戦争の背景を知ることで、映画の内容がより深く理解できます。
映像表現を楽しむ心構えを持つクローズアップやシンプルなセットを多用した革新的な演出が映画の大きな魅力です。それを楽しむ視点で観ると一層楽しめます。
観終わった後に考える時間を持つ映画を観た後、ジャンヌの信仰や裁判の不条理について考える時間を設けると、より深い感動を味わえます。
マルセル
マルセル

『裁かるゝジャンヌ』は、ジャンヌ・ダルクの最後の日々を描いた静かながらも圧倒的な力を持つ作品です。歴史的背景を知りつつ、静かな環境でじっくりと鑑賞することで、この映画の持つ深い感動を存分に味わえることでしょう。

作品の裏話やトリビア

『裁かるゝジャンヌ』は、映画史に燦然と輝く名作であり、その制作過程や背景には興味深いエピソードが詰まっています。この章では、映画の制作秘話や知っておくとさらに楽しめるトリビアをご紹介します。

制作の背景

裁判記録に基づいた脚本
監督のカール・テオドア・ドライヤーは、ジャンヌ・ダルクの異端審問の裁判記録に基づいて脚本を作成しました。この記録は、1431年に実際に行われた裁判の詳細が記されており、映画はその内容を忠実に再現しています。

斬新な映像表現
本作の撮影では、クローズアップが多用されました。この手法は、ジャンヌの表情に宿る感情を観客に伝えるために用いられ、映画史における革新とされています。また、セットのミニマルなデザインは、物語に集中させるための意図的な選択でした。

ファルコネッティの演技
ジャンヌ役のルネ・ファルコネッティは、この役のために心身を捧げたといわれています。彼女の表情と目の演技は、声がなくとも感情が伝わる圧巻のものであり、サイレント映画の頂点ともいえる評価を得ています。

出演者のエピソード

ファルコネッティの献身
ファルコネッティは、ドライヤー監督の厳しい演技指導を受け、映画のために徹底的な準備を行いました。彼女は「ジャンヌ・ダルクという役を生きる」ことを求められ、その結果、ジャンヌの苦悩と信念がリアルに表現されています。

キャストの自然な演技
映画にはプロの俳優だけでなく、素人のエキストラも多く起用されました。裁判官役の俳優たちは、リアリティを重視するため、実際の宗教指導者の姿勢や話し方を学んだと言われています。

知っておくと楽しいトリビア

紛失と復元の歴史
映画のオリジナルプリントは、長い間行方不明でした。数十年後、ノルウェーの精神病院でほぼ完全なプリントが発見され、復元されるという奇跡的な経緯をたどっています。この復元作業のおかげで、現在私たちはほぼ完全な形で作品を楽しむことができます。

音楽の付加
公開当時はサイレント映画として上映されましたが、その後の上映では新たに音楽が追加されることがありました。特に、オラトリオ形式の音楽が映画の神秘的な雰囲気を一層高めています。

セットの構築
映画のセットは、映画のためにフランスに建設されたものでした。監督の意向により、歴史的な正確性が重視され、裁判所や牢獄の再現には膨大なリサーチが行われました。

視聴者が見逃しがちなポイント

ジャンヌの涙の意味
ジャンヌが裁判の中で涙を流す場面では、彼女の信仰と人間らしさが象徴的に表現されています。この涙は、彼女の信念の強さだけでなく、苦痛の深さも感じさせます。

裁判官たちの表情
ジャンヌに圧力をかける裁判官たちの表情にも注目してください。彼らの表情の変化は、ジャンヌの言葉が彼らにどのような影響を与えたかを物語っています。

マルセル
マルセル

『裁かるゝジャンヌ』は、その背景にある深いリサーチと革新的な演出が相まって、不朽の名作となりました。制作秘話やトリビアを知ることで、映画がさらに豊かに感じられることでしょう。

締めくくりに

『裁かるゝジャンヌ』は、映画史上に残る傑作として、観る者に深い感動と考察の余地を与える作品です。ジャンヌ・ダルクという実在の人物を通じて、人間の信念や精神的な強さ、そして権力の不条理を見つめ直す貴重な機会を提供してくれます。

映画から学べること

信仰と人間の内面的な強さ
ジャンヌは、命を脅かされる極限状態においても、自らの信仰を貫きました。この姿は、人間がどのようにして困難を乗り越え、自分自身の価値観を守るのかという普遍的なテーマを問いかけます。

権力の力とその限界
映画は、裁判官たちの権力がジャンヌを押しつぶそうとする様子を描く一方で、ジャンヌの精神的な強さがその権力を超越していることを示しています。この対立は、現代における正義や権力のあり方を考えるきっかけにもなります。

視聴体験の価値

『裁かるゝジャンヌ』は、映像美、演技、そして深いテーマ性を兼ね備えた作品です。サイレント映画ならではの表現手法が、ジャンヌの内面的な苦悩や信念をより直接的に伝えます。ルネ・ファルコネッティの演技や、カール・テオドア・ドライヤーの革新的な演出は、この映画を不朽の名作たらしめています。

最後に

親愛なる映画ファンの皆様、『裁かるゝジャンヌ』鑑賞ガイドをお読みいただき、ありがとうございました。この映画は、ジャンヌ・ダルクという一人の女性の壮絶な人生を通して、信念の強さや人間の精神の美しさを描き出しています。

歴史に根差しつつも、普遍的なテーマを持つこの映画は、何年経っても観る価値がある作品です。観るたびに新しい発見があり、ジャンヌの物語に新たな感動を覚えることでしょう。

それでは、また次回の映画鑑賞ガイドでお会いしましょう!素晴らしい映画との出会いを楽しんでください。

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